万年筆

万年筆に関する描写が詳しく詳しく書かれている小説。

私は2~3の海外メーカーしか知らないので、へえ~という感じで読んでいる。

 

万年筆への憧れは中学生くらいからあった。

制服の胸ポケットに万年筆という描写が小説ではよく出ていたから。

或いは文豪の話でとか。

 

高校生でバイト収入が得られると、すぐ買った。国産の安い奴だが。

授業では使うのは目立つので、日記を書くことで満足してた。

スラスラというあの滑らかさは快感だ。

 

シャーペンは、筆圧の強い私はすぐ折れるし、耳障りな冷たい嫌な音がする。

ボールペンは、安物だとインクがボタっとなって汚れる。

 

夜、日記を書くになめらかで静かな万年筆は良かった。

 

大学では、早口でしゃべりまくる有名大学からの客員教授の講義をシャーペンで速記したノートを、帰って清書する時に使った。

消しゴムで擦れば、インクだけが残るから重宝した。(特にさぼっていた悪友が)

 

そんな感じだから知人の女性が国家試験に合格した時に、万年筆を送ったが、後に失敗だったと知る。(かなりガッカリ)

 

でもなあ、この小説のような都会の一流文具売り場は、近くに寄ることも不可能だな。

 

金持ちというだけではない知的レベルのハードルがある感じ。(金が痛いのは事実)

 

あれから40年以上経つ現代。

ペンが必需品だった漫画家さんもPC。

文筆家も、素人も。

 

それでもどっこい愛好家の中では生きているような様子。

 

大事な契約書とか、外交文書とかはやっぱりいい万年筆を取り出したいよねえ。

(まったく縁がなかったが。)

 

いや、それ以前に、重大な変化が。

手で文字を書く機会がほとんどない今、たまに書くと誤字・脱字は当たり前で、文字が出て来ないという嘆かわしさ。

手が忘れたんだよ、文字を。(もともとたいして入っていない頭もあるが)

 

10年くらい前に万葉集を書き写すのをやってみたが、鉛筆で1年かかった。

今振り返れば、あれ、万年筆ですればよかった。

 

悪筆な私にとっては、ワープロの誕生は夢のような発明だった。

しかし、今PCで簡単にブログなど打てるようになったら、書くという醍醐味を失った上に、文字も忘れているようだ。

 

警察の筆跡鑑定は、PC鑑定?になったのだろうな。いや、SNS鑑定?

 

もし、今、万年筆を使っているお嬢さんに出逢ったら・・・・恋する?驚く?変人かと疑う? ああ、ヤッパリ話しかけたくなるかな。(実際にしたらこちらが怪しい)