路地裏さえない谷底の河原に立つ少年。
昔の本を読んでいると、出て来た。
ポプコン・ヤマハ・浜省~首切りの話なのに感動で鼻水ダラダラ。
わかっているのに体が反応する、いや記憶が反応する。
私は歌は音痴だし、ギターも弾けない。
それどころか、ラジオもなかった。(というより、まともに電波が入らない田舎)
そんな感じで特に音楽がどうのこうのはなかったのだが、大学に行き友達たちが聞いている音楽でいろいろなことを知る。
暗いフォークが好きなのが多かったが、ひとり市内のボンボンは浜省。
え??この歌って、まさかここ??
酒販問屋の彼の好意で、球場売り子に水冷貯蔵のケースごと渡すアルバイト。
まったくもって超楽勝なバイトで4,000円くらいの配当だった。(当時は満杯にならないオンボロ球場、大入りは100円のポチ袋あり。)
ボンボンは年下だが、球場を任されていて事務所で売り子の伝票をチェックしつつ、在庫管理。天気と客の入り。瓶ビールだけに輸送も積み下ろしもハード。(そこはプロの仕事。シロートには無理。)
思った。2代目・3代目はボンボンばかりではない。
本人はもしかしたら歌へ想いがあったのかもしれない。
地方都市から出る歌をいつも聴いていたように思う。
結局私は、地方を離れることなく留まったまま。
それも年々郊外へと。
大学時代に夢見た広い世界は、踏み出す勇気がなく、子どもに託す卑怯さ。
東君に一瞬夢を見たが、彼はそこで現実を見たようだ。
人生が二度あるなら・・・・ないから、失敗を繰り返す人間模様。
10代で特別な生き方へ踏み出すのは、機会が増えた現代でも、出来る人と出来ない人はいる。
才能とは別に。
今はもう、6畳の自室が毎日の90%。
それでも、好きな時にこうしてネットで動画が見られるのは、幸せなのか、虚構なのか。
16歳の俺は・・・・まだ、何も知らない田舎者だった。
学校と家、片道15kmをCB50で往復するだけの。
大学終了時、10万km走ったが、どこへも辿り着けなかった。