嵐が丘より深夜食堂
最初にそのタイトルを見たのは小学校の図書室だった。
近くには車輪の下とか、そういう名作が並んでいた。
しかし当時のストライクゾーンは、ルパンや海底や世界一周とか健全な男の子の傾向でした。
あれから40年以上。
劇中劇とか漫画とかで内容や役名はしっているが、この度映画で初めて見ると。
ヤッパリはずれているな私には。
10分で止めて、次に選んだのは深夜食堂。
何度見てもど真ん中だよなあ。
涙が流れ落ちる。
飢えているのかなあ、愛ではなく人情に。
愛は時に人を狂わす。
不幸にするからなあ。
さりげない心配りと気配り。
深くは踏み込まないが、ホッとする共有時間。
ついに馴染みの店は無しで終わりそう。
そんな私が思い出す店が一軒。
大学時代に旅した写真を現像に出す店。
古びた家で初老の未亡人(妄想)が取り次ぐだけの店。
何がきっかけでそこへ出すようになったのかはわからないが、出来上がった写真を土間の椅子に座り、丸いテーブルに広げて旅の話。
あれはなんだったんだろう。
北海道から帰ったら、もう閉まっていた。
それからは旅の思い出を話す相手はいなかった。